2010/07/18

ダンス・ダンス・ダンス(上)

 それはある女性誌のために函館の美味い食べ物屋を紹介するという企画だった。僕とカメラマンとで店を幾つか回り、僕が文章を書き、カメラマンがその写真を撮る。全部で五ページ。女性誌というのはそういう記事を求めているし、誰かがそういう記事を書かなくてはならない。ごみ集めとか雪かきとかと同じことだ。だれかがやらなくてはならないのだ。好むと好まざるとにかかわらず。
 僕は三年半の間、こういうタイプの文化的半端仕事をしつづけていた。文化的雪かきだ。

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)
(2004/10/15)
村上 春樹

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この本を読んでいる時にちょうど取材執筆の仕事があって、
山猫とメールで「海辺のカフカのナカタさんはなんで絵の中にいることができたのか」などとやりとりし、「今文化的雪かきをしている」と言ったら、
「文化的なだけましだ」と山猫は言っていた。
山猫は高校で国語を教えているけれど、文化がないらしい。

わたしはその文化的雪かきは終わったけれど、
今日は新しい会社の新しい校正の仕事が入っている。
会社によってこうも外注の扱いが違うものなんだ、とそういうところが面白い。
今回の会社のは丁寧。
さっそく休日中にやってくれるならばと個人電話の番号まで教えてくれた。
多分若い男性で、国語にまるわる書籍教材のプロダクションで女性に囲まれ苦労しているのではないかと推察している。

上の本は、ただいま読み終わったけど、特に何か意味がある本には思えなかった。
一つの「」で3回そのまま同じことを言っていて、さすがだと感心した。

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